2.3移行ガイド
CakePHP 2.3 は、2.2 の API の完全上位互換です。 このページでは、2.3 の変更と改善についてのアウトラインを紹介します。
定数
アプリケーションで CACHE
と LOGS
の定数を簡単に定義できます。 いまは条件付きで CakePHP により定義されています。
キャッシュ
- FileEngine はデフォルトのキャッシュエンジンです。 これまで、たくさんの人々が CLI と Web の双方で正しく APC が動作させようと セットアップに難儀していました。 ファイルを利用することにより、新規の開発者のセットアップが容易になります。
- Configure::write('Cache.viewPrefix', 'YOURPREFIX'); が core.php に 追加されました。これによりセットアップごとに複数のドメインや言語が利用できます。
コンポーネント
AuthComponent
AuthComponent::$unauthorizedRedirect
が新規プロパティとして追加されました。- デフォルトは
true
です。認証エラーの場合はリファラ URL へリダイレクトされます。 - 文字列または配列をセットした場合は、その URL へリダイレクトされます。
- false をセットした場合は、リダイレクトせずに ForbiddenException を投げます。
- デフォルトは
- 新しい認証アダプタとして blowfish/bcrypt がパスワードハッシュで利用できるようになりました。
$authenticate
の配列にBlowfish
を追加することで、bcrypt パスワードが利用できます。 AuthComponent::redirect()
は非推奨となりました。AuthComponent::redirectUrl()
を代わりに利用して下さい。
PaginatorComponent
- PaginatorComponent は、
findType
オプションをサポートしました。 これは、ページネーションで利用したいメソッドを見つけるのに役立ちます。 0番目のインデックスを管理・設定するよりも少しだけ簡単になっています。 - PaginatorComponent は、範囲外のページにアクセスしようとした場合(例えば、 リクエストされたページが全ページのカウントよりも大きかった場合など)に NotFoundException を投げるようになりました。
SecurityComponent
- SecurityComponent は、
unlockedActions
オプションをサポートしました。 これは、このオプションに書かれた全てのアクションで、セキュリティチェックを 全く行わないようになります。
RequestHandlerComponent
RequestHandlerComponent::viewClassMap()
が追加されました。 これは、ビューのクラス名のマッピングに利用されます。 拡張子やコンテンツに応じた正しいビュークラスを自動的にセッティングするために$settings['viewClassMap']
を使用できます。
CookieComponent
CookieComponent::check()
が追加されました。CakeSession::check()
と同じ動作です。
コンソール
server
シェルが追加されました。 PHP5.4 の Web サーバ機能を CakePHP アプリケーションで利用することができます。- 新しいアプリケーションを Bake する場合に、アプリケーション名をキャッシュの prefix にセットするようになりました。
I18n
L10n
- ISO 639-3 で定義されている
nld
がオランダ語のデフォルトロケールになり、dut
はそのエイリアスとなりました。ロケールのフォルダは、 /Locale/dut/ から /Locale/nld/ へ変更となりました。 - アルバニア語は
sqi
、バスク語はeus
, 中国語はzho
、チベット語はbod
、 チェコ語はces
、ペルシア語はfas
、フランス語はfra
、アイスランド語はisl
、 マケドニア語はmkd
、マレー語はmsa
、ルーマニア語はron
、セルビア語はsrp
、 スロバキア語はslk
にそれぞれなりました。同様にロケールのフォルダも変更になりました。
コア
CakePlugin
CakePlugin::load()
にignoreMissing
オプションが新たに加わりました。 これを true にセットすると、route や bootstrap でロードしようとしたプラグインが 見つからない場合でもエラーとなるのを防いでくれます。 つまり、route または bootstrap で見つかる全てのプラグインを読み込むには次のような構文を使います::CakePlugin::loadAll(array(array('routes' => true, 'bootstrap' => true, 'ignoreMissing' => true)))
Configure
Configure::check()
が追加されました。CakeSession::check()
と同じ動作です。ConfigReaderInterface::dump()
が追加されました。 コンフィグを読み込むカスタム実装を作成している場合は、dump()
メソッドも実装して下さい。IniReader::dump()
の$key
パラメータは、PhpReader::dump()
と同じような PluginName.keyname 形式のキーをサポートしました。
エラー
Exceptions
- CakeBaseException が追加され、全ての Exception がこれを継承する形になりました。 ベースとなる Exception クラスは、Exception インスタンスの生成時に、 HTTP ヘッダやレスポンスを生成する
responseHeader()
メソッドを発動します。 任意のレスポンスインスタンスを Exception として利用しないでください。
モデル
- 全てのコアデータソースとフィクスチャで biginteger タイプをサポートしました。
- MySQL ドライバで
FULLTEXT
インデックスをサポートしました。
Models
Model::find('list')
は ContainableBehavior で利用する場合、最大包括深度 もしくは再帰値を元にしたrecursive
をセットするようになりました。Model::find('first')
は、ひとつもレコードが見つからなかった場合に、 空の配列を返すようになりました。
Validation
- バリデーションメソッドが見つからなかった場合、これまでのように development モードだけでなく、 常に エラーを吐くようになりました。
ネットワーク
SmtpTransport
- SMTP コネクションで TLS/SSL がサポートされました。
CakeRequest
CakeRequest::onlyAllow()
が追加されました。CakeRequest::query()
が追加されました。
CakeResponse
CakeResponse::file()
が追加されました。- application/javascript と application/xml 、 application/rss+xml の 各コンテントタイプで charset も送信するようになりました。
CakeEmail
CakeEmail::attachments()
にcontentDisposition
オプションが追加されました。 添付ファイルに Content-Disposition ヘッダの付加を抑制することができます。
HttpSocket
HttpSocket
はデフォルトで SSL 証明書の検証を行うようになりました。 もし自己署名の証明書やプロキシを利用した接続が必要な場合、新しいオプションを利用してください。 詳しくは Http Socket Ssl Options を参照して下さい。HttpResponse
はHttpSocketResponse
に名称変更となりました。 PECL の HTTP モジュールとの名前衝突を回避します。 互換性のためにHttpResponse
クラスが提供されています。
ルーティング
Router
Router::url()
にtel:
とsms:
が追加されました。
ビュー
- MediaView は非推奨となりました。 代わりに
CakeResponse
の新しい機能を使うことで同じ結果を得られます。 - Json と Xml のビューでのシリアライズは
_serialize()
へ移動しました。 - beforeRender と afterRender のコールバックは、Json と Xml ビューで テンプレートを使った場合にも呼ばれるようになりました。
View::fetch()
は引数$default
を持つようになりました。 この引数は、ブロックが空であるものに対し、デフォルト値を設定することができます。View::prepend()
は既存のブロックへコンテントを差し込めるように追加されました。XmlView
はトップレベルの XML ノードを指定するために_rootNode
変数を使用するようになりました。View::elementExists()
が追加されました。 エレメントを利用する前に、それが存在するかどうかのチェックに利用できます。View::element()
にignoreMissing
オプションが追加されました。 エレメントが見つからなかった場合のエラー発生を抑制することができます。View::startIfEmpty()
が追加されました。
Layout
- app フォルダと cake パッケージ内にある bake 用のテンプレートのレイアウトファイルの doctype を XHTML から HTML5 へ変更しました。
ヘルパー
- ヘルパーのセッティングに使う
Helper::$settings
プロパティが追加されました。Helper::__construct()
の$settings
パラメータはHelper::$settings
とマージされます。
FormHelper
FormHelper::select()
は disabled のアトリビュートの値を許可するようになりました。'multiple' => 'checkbox'
と組み合わせることで、disabled にしたい値の リストを提供できるようになります。FormHelper::postLink()
はmethod
キーを許可するようになりました。 これを利用することで、POST 以外の HTTP メソッドを使ってフォームへのリンクを生成できます。FormHelper::input()
を使って入力を作成した場合に、errorMessage
オプションを false にすることができるようになりました。 これはエラーメッセージの表示を抑制しますが、エラーのクラス名はそのまま残します。- FormHelper は、HTML5 の
required
アトリビュートを input エレメントの バリデーションとして付与するようになりました。 もし、フォームに「キャンセル」ボタンがある場合は、 HTML レベルのバリデーションの 発動を抑制するために'formnovalidate' => true
をキャンセルボタンのオプションへ 追加してください。 FormHelper::create() に'novalidate' => true
オプションを追加することで、 全てのエレメントでのバリデーションを抑制することができます。 FormHelper::input()
はフィールド名の名前を元にtel
とemail
タイプを生成するようになりました。ただし、明示的にtype
オプションが指定されている場合を除きます。
HtmlHelper
HtmlHelper::getCrumbList()
はseparator
とfirstClass
、lastClass
オプションが追加されました。 メソッドが生成する HTML の細かなコントロールができるようになりました。
TextHelper
- テキストを終端から切り詰める
TextHelper::tail()
が追加されました。 TextHelper::truncate()
の ending は非推奨となり、代わりに ellipsis を利用してください。
PaginatorHelper
PaginatorHelper::numbers()
にcurrentTag
オプションが追加されました。PaginatorHelper::prev()
とPaginatorHelper::next()
メソッドでtag
オプションにラッパーを抑制するfalse
がセットできるようになりました。 これらの2つのメソッドに disabledTag オプションも追加されました。
テスト
- コアのフィクスチャのデフォルトに
cake_sessions
テーブルが追加されました。 フィクスチャのリストにcore.cake_sessions
を追加することで利用できます。 CakeTestCase::getMockForModel()
が追加されました。 モデルオブジェクトのモックを簡単に取得することができます。
ユーティリティ
CakeNumber
CakeNumber::fromReadableSize()
が追加されました。CakeNumber::formatDelta()
が追加されました。CakeNumber::defaultCurrency()
が追加されました。
Folder
Folder::copy()
とFolder::move()
で 上書きとスキップの機能に加え、ターゲットとソースディレクトリのマージに対応しました。
String
- テキストを終端から切り詰める
String::tail()
が追加されました。 String::truncate()
の ending は非推奨となり、代わりに ellipsis を利用してください。
Debugger
Debugger::exportVar()
は PHP >= 5.3.0 の場合に private および protected なプロパティも出力するようになりました。
Security
- bcrypt のサポートが追加されました。 bcrypt の使用方法の詳細は
Security::hash()
のドキュメントを参照して下さい。
Validation
Validation::fileSize()
が追加されました。
ObjectCollection
ObjectCollection::attached()
が非推奨となり、代わりに新しいメソッドObjectCollection::loaded()
を利用して下さい。 ObjectCollection へのアクセスは attach()/detach() から変更済みの load()/unload() に統一されました。